地形
北上盆地の平野の中を悠然と南下した北上川は、一関市に至ると通称狐禅寺の狭窄部と称せられる峡谷に入り、その両岸は起伏に富む丘陵地帯に変化します。
事業地区は、このあたり北上川の右岸、西磐井丘陵地に位置している。東の北上川と西の有間川に挟まれたこの地域は、標高60mから150mの掌状波状丘陵地帯となっており、未墾地の傾斜区分を見ると
3°以下 34%、
3°から8°まで 61%、
8°から15°まで 5%
となっています。
地質
地区の東部北上川沿いの一帯は、古成層からなる礫岩、粘板岩、頁岩によって形成されており、西部一帯には粘板岩、頁岩が広く分布しています。
地質は、第三紀層の砂及び粘土を主とする凝灰質粘土地帯がその大部分を占めており、一辺沢地の底部には真滝狭炭層があり若干の亜炭を産しています。
本地区の土壌は一般に表土10cm以下で腐食に乏しく、壌土と重粘土が大部分を占めています。土性はpH(H2O)4.9-5.8 pH(KCL)3.0-4.3と酸性が強い方であり、リン酸吸収係数はおおむね900-300で、一部地域に1,600-1,120の部分が見られます。
気象水文
北上盆地の最南端で奥羽山脈と太平洋の中間に位置するこの地域は、内陸部とはいいながら太平洋に近いためヤマセの影響を受けやすく、夏の日照時間も盛岡周辺部に比べると数段少なくなっています。
年間平均気温は11.5°Cとなっており、無霜期間は4月18日から10月29日の196日間となっています。 最深積雪量は20-30cmとなっており、県下では少ない方です。
年平均降雨量は1,203mm、降雨日数は200日です。
一般に2月から6月にかけて大雨の降る割合が多いようですが、昭和23年7月22日のカスリン台風時には285mm/日、昭和23年9月16日のアイオン台風時には227mm/日、(いずれも一関通報所記録)の降雨により洪水が発生しました。
この時には、一関市が冠水し、死者、行方不明者が100人(カスリン)、473人(アイオン)に達しました。
事業地域の一帯は掌状波状丘陵地として大きな河川がないため、従来は沢水利用の水田が沢沿いに耕作されるほか、皿地によって水源を求めていましたが、いずれも、その容量が小さいため、しばしば干害に見舞われていました。
植生状況
地域全体の丘陵地は、樹形10cm以下の粗生の林地をなしており、ブナ、ナラ等の広葉樹で占められ一部の林地には赤松、黒松等の針葉樹が自生している程度です。原野は、地表を芝草が被覆しておりツツジ等の灌木が自生しています。
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