生きている地球 | |
~ 環境問題を見る視点 ~ その9 環境問題にどう取り組むのか? さて、だいぶ長くなってしまいましたが、最後に私たちはどう環境問題に対処していけばよいのか、その基本的な方向について考えておくことにします。 既に見てきたように、環境問題は閉鎖型の工業生産システムの本質的な特性によって、生態系の物質循環システムが汚染され、傷つけられていることでした。 環境問題は工業的な技術によって解決できない問題であることが分かりました。 生態系の一部を構成する人間社会が持続可能であるためには、基本的には人間社会は生態系の物質循環の枠内で資源を獲得し、また廃物は生態系で無理なく、そして有効に処理されるように廃棄することが必要です。 人間社会が持続的に豊かであるためには、生態系の定常性を維持しつつ、生態系全体が豊かになるように人間社会が働きかけていくことが必要です。 現在の危機的な状況を克服して、持続可能な人間社会に到達するためには、まず始めに何をすべきなのでしょうか? 第一に、工業生産システムの縮小です。 同時に、工業生産システムを含む人間の社会システムの物質循環を、地球の生態系の物質循環システムに繋げていくことが必要です。 そのためには、生物としてのヒトの生存に必要でない物の製造、あるいは生態系の物質循環になじまず、深刻な汚染をもたらすような工業生産システムは速やかに縮小、廃止していくことが必要です。 公共事業では、これまでの工業生産活動や無理な土地開発で傷つき汚染されてきた環境に、本来の生態系の物質循環を回復し、更に豊かにするような基盤整備を行うことが必要です。 同時に、工業的なエネルギーや物質によって支えられている工業化された『閉鎖型の農業』を、本来の生態系の循環に依拠した『開放型の農業』に戻していくことが必要です。 特に現在の人間社会が当面、最初に遭遇する最も深刻な問題であると考えられる世界的な食糧供給の絶対量の欠乏に備えて、農業構造の建て直しは焦眉の課題です。 こうした基本的な方向にそって、具体的に実際の事業を進めていくためには、各分野における研究や検討が必要です。個別の内容について、今後このホームページ上で更に検討していきたいと思います。 ~ 環境問題を見る視点 ~ 近 藤 邦 明氏 『環境問題』を考える より |
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更新履歴 新規作成:Mar.19,2008 最終更新日:Mar.13,2009 |
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