第一節 位置
本村ハ西磐井郡ノ東部一関町ノ東南部ニ位シ、東西二里二十五町、南北三里三十五町、面積三方里二十四ヲ有ス。其ノ面積ニ於テ本郡第三位ニ居ル大村ナリ。
西部ハ一関町及萩荘村ニ接シ、南部ハ宮城縣栗原郡萩荘村及本郡金沢村弥栄村ニ接シ、東部ハ北上川ヲ距テ東磐井郡舞川村、長嶋村ニ相対ス。北部ハ本郡中里村ニ境ス。
（参考） 西磐井郡各町村面積及戸数 人口（大正四年三月現在）
| 平 泉 村 |
中 里 村 |
山 目 村 |
厳 美 村 |
萩 荘 村 |
眞 瀧 村 |
弥 栄 村 |
日 形 村 |
老 松 村 |
金 沢 村 |
花 泉 村 |
油 島 村 |
涌 津 村 |
永 井 村 |
一 関 町 |
町 村 名 |
二 ・ 八 八 |
〇 ・ 六 六 |
一 ・ 〇 八 |
一 一 ・ 五 六 |
五 ・ 〇 〇 |
三 ・ 三 四 |
一 ・ 〇 〇 |
一 ・ 二 〇 |
〇 ・ 八 八 |
一 ・ 七 〇 |
一 ・ 三 九 |
一 ・ 一 一 |
〇 ・ 八 八 |
二 ・ 〇 〇 |
〇 ・ 三 一 |
面 積 |
六 〇 一 |
六 三 八 |
八 六 五 |
五 三 一 |
五 八 一 |
五 七 三 |
二 六 六 |
二 四 五 |
二 一 三 |
三 五 二 |
三 一 九 |
三 二 〇 |
三 一 五 |
三 八 〇 |
一 六 八 二 |
戸 数 |
| 四 四 七 九 |
四 二 八 六 |
四 九 一 九 |
四 五 五 〇 |
四 五 六 四 |
四 四 〇 二 |
二 〇 五 三 |
一 八 〇 一 |
一 八 八 八 |
二 五 六 三 |
二 二 八 九 |
二 四 二 一 |
二 七 五 九 |
三 〇 六 二 |
八 七 九 五 |
人 口 |
| 七 ・ 五 |
六 ・ 七 |
五 ・ 七 |
八 ・ 五 |
七 ・ 七 |
七 ・ 九 |
七 ・ 七 |
七 ・ 四 |
七 ・ 三 |
七 ・ 二 |
七 ・ 四 |
七 ・ 六 |
八 ・ 八 |
八 ・ 二 |
八 ・ 八 |
一 戸 平 均 人 口 |
一 ・ 六 |
六 ・ 五 |
四 ・ 六 |
四 ・ 九 |
九 ・ 一 |
一 三 ・ 二 |
二 ・ 一 |
一 ・ 五 |
二 ・ 一 |
一 ・ 五 |
一 ・ 六 |
二 ・ 二 |
三 ・ 一 |
一 ・ 五 |
二 八 ・ 四 |
一 方 里 人 口 |
第二節 地 勢
本村ニハ高山ト称スベキ山岳ナシ。然レドモ、全村至ル所山脈相連リ、山地多ク少シク平野ト称スベキモノハ三関沖及狐禅寺ノ一部・磐井川ニ沿ヘル地方並ニ真柴ノ一部・一関町ニ接セル地方トス。他ハ滝沢川及大森川ノ沿岸ニ狭長ナル平野ヲ形成セルヲ見ル。
第三節 河 川
北上川（神水等ト書ス）
北上川ハ本村ノ北部ヲ境スル大川ニシテ、源ヲ本縣岩手郡ノ北境・御堂村ニ発シ、奥羽山脈ト北上山脈ノ間ヲ流下スル。中ニ中津川、雫石川、和賀川、膽沢川、衣川ヲ合セ、本村ニ至リテ東ニ磐井川ヲ合セテ、狐禅寺ノ東北郊ヲ匝リ、漫々タル碧水大空ノ雲ヲ浮ベテ、宮城縣ニ入リ石巻港ニ至リテ太平洋ニ注グ。全長六十二里十七町、沿岸ハ沖積層地ニシテ地味沃餐、所謂北上平野ヲ形成ス。且ツ東奥交通ノ幹線ニ当リ、自ラ人文発達ノ素地ヲ作ラレタリ。
北上川ノ本村ニ及ボス影響
河水氾濫シ、其被害甚大ナルモノアリ。古老ノ口碑ニ伝フル、白鬚ノ水、文久元年ノ水、明治八年ノ水ヲ初メ、近来ニ於テハ年一年其ノ度ヲ重ネ、明治二十三年、二十五年、二十八年、三十年、三十一年ヲ始メ大洪水アリ。四十年、四十三年、大正三年ノ如キ未曾有ノ洪水ヲ見ル。為メニ其ノ年ノ農作物ハ皆無ニ帰スルノ悲境ニ陥リ、家屋ヲ破壊シ動産ヲ流亡破損スル事少ナカラズ。
此ノ如ク近年頻繁ニ大洪水ヲ見ルニ至リシハ、水源其ノ他流域地方ノ山林乱伐ノ結果ニ依ルコト勿論ナレドモ、又他ニ一ノ原因アリテ存ス。気仙街道改修以前ニアリテハ、底深ク土砂ノ停滞少ナクシテ、如何ナル減水ノ時モ船舶ノ運航ニ支障ヲ見ザリシガ、今日ニ於テハ河水減少センカ。直チニ、浅瀬ヲ表ハシ航行ヲ中止スルニ至ル。
明治九年、岩手縣令島惟精、横石ト称スル大石ヲ除キタルヨリ、床上浸水ヲ見ザルニ至レリ。然ルニ明治十九年、気仙沼街道改修ノ際、薄衣・舞川間約三里ノ沿岸、岩石ヲ破砕シ悉ク之ヲ河底ニ投入シ、埋没セシメタルニモ據ルコト多シト云フ。
磐井川
北上ノ一支流ニシテ、酢川嶽ノ北側ニ発シ、其レヨリ東流シテ本寺ヲ過ギ、猪岡、五串ヲ経、其ノ以下両岸ヨリ少ノ平地ヲ開キ、一関ノ西郊ヲ南ヨリ走リ、更ニ右折レシテ北郊ヲ回リ、本村狐禅寺ノ西方ヲ過ギ、狐禅寺川岸ニ至北上川ニ入ル。
大槻盤渓詩アリ
雨後春山掃翠蛾 釣舟戙在舊渓阿
忽穿曲岸崩辺去 且避奇巌乱處過
煙柳垂絲遮短笠 風花吹雪點軽簔
魚人複無爭隈意 報道前灘魚最多
滝沢川（旧名 思川）
源ヲ本村真柴字柧木立ニ発シ、牧沢部落ノ中央ヲ過ギ、滝沢ヲ南ヨリ北ニ貫流シ、狐禅寺ニ至リ北上川ニ注グ。（此ノ川ハ狐禅寺ニ入ル所ニ於テ瀑布ヲナス）
柳沢川
本村真柴ノ西隅柳沢ニアリ、萩野村境ナル古田ヨリ発スル小川ニシテ、一関町地内ニ至リテ大森川ニ合ス。
東沢川
真柴村真柴地内吉ヶ沢ニ発シ、鉄道路線ニ沿ヘ北ニ流レ、的場ニ至リ大森川ニ合ス。
大森川
本村真柴地内亀ノ倉大森ヨリ発シ、国道筋ニ沿ッテ北流シ、的場ニ於テ東沢川ヲ合セ一関町ニ入リ吸川トナル。
牧沢川
本村真柴地内柧之木立ヨリ発シ、之牧沢地内中央ヲ流レ、滝沢川ニ入リテ滝沢川トナル。
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底本：「復刻 眞瀧村誌」
2003（平成15）年6月10日発行
発行者 眞瀧村誌復刻刊行委員会
代表 蜂谷艸平
2004年3月10日作成