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封内風土記（眞瀧村ニ関スル記事）
封内風土記ハ仙台領ノ風土記ニシテ田辺希文先生ノ九年ヲ費シテ成タルモノ一部二五巻アリ。
三関邑
戸口凡三十五
神社凡三、白山神社注１不詳何時勧請、天神宮注２同上、明白山常光寺、曹洞宗本郡金沢村宝持寺末寺伝云、正親町帝、天正三年八月十六日、葛西家臣・三関城主千葉内膳、詳不造営、宝持寺第四世・周興和尚開山。赤川小川也。
源出自本邑小沢、而会磐井川 古壘一、白崎城伝云、葛西家臣千葉内膳所居。
狐禅寺邑
戸口凡百四十八 有号山田地。
神社凡八。愛宕神社注３、不詳何時勧請。牛頭天王社注４同上 熊野神社注５同上 天神宮同上 狐禅寺大明神不詳 何時勧請何神宇南何神 佛宇一薬師堂 不詳何時創建。
寺一 鶏頭山西光寺。曹洞宗本郡一関邑願成寺末寺伝云 古藤原秀衡造営。堂宇回祿之後、後花園帝・永享十年八月二十八日、願成寺第九世・梵西和尚中興開山。
舊跡凡二 尼カ森 伝云、古昔此処有、尼寺西行法師止宿、岩洞 右北上川南、号志賀山地、長一間半、横一間 伝云、西明寺時頼入道回国時遭雨待時処。
名石凡二 貝取石 高一丈許、囲三尺許舞石高二丈五尺許。囲三丈八尺許。
川凡三 北上川西南岸属本邑。磐井川東南岸属本邑。思川 小川也。滝沢川之末流、而至本村会北上川。
古壘一 伝云葛西家臣 新柵太郎左衛門種次 所居。
滝沢邑
戸口凡百六十三、有号藤地。
神社凡五 熊野神社 不詳何時勧請 伝云、平城帝大同中坂上田村麻呂造営。滝神社 不詳何時祭何神 白山神社 不詳何時勧請。月山権現社 同上。新山権現社
同上。
寺一 醫王山長寿寺 曹洞宗 江刺郡黒石邑正法寺末寺 伝云、後小町帝應永一五年三月葛西家臣、本郡下黒沢邑城主黒沢相模諱不伝造、正法寺三世虎渓和尚開山。
瀑布一 号境瀑布、高一丈五尺余濶七間余。
川一 滝沢川 小川也、源出自本郡牧沢邑柧木沢而至狐禅寺邑。日之、思川 会北上川。
古壘一伝云、葛西家臣蜂谷隠岐 諱不伝所居。
道一 西本郡一関駅 東本郡東山薄衣村往還道也。
牧沢邑
戸口凡三十四
神社凡二 八幡宮不詳何時勧請。 神明宮同上。古壘一 伝云、葛西家臣細谷近江諱不伝所居。
鬼死骸邑
伝云、古昔、埋大武丸屍故名之。
戸口凡八十七 有号柳沢地。
神社凡二 八幡宮 不詳何時勧請。鹿島神社 伝云、平城帝大同中、坂上田村麻呂征伐大武丸之後所勧請。
寺凡三 曹源山瑞川寺 曹洞宗 仙其府下松音寺末寺 伝云、松音寺第六世松庵堅貞和尚開山、不詳其年月、当主田村家寄付十二石ノ地。王林山長勝寺 此寺荒癈、巳久不詳何時何人開山而何宗、今日蓮宗。
武州豊島郡堀内邑日圓山妙法寺末寺、桜町帝元文三年十月三日、当主田村左京太夫村顕再興、廃寺之遺跡 毎年寄付棒米五口金七両、妙法寺 第十世東漸院日弘第子独明院中興開山。千刈山正洞院 曹羽宗 本郡一関邑願成寺末寺 伝云、正親町帝永禄十二年、願成寺第九世沢翁和尚開山。不詳何人造営。
旧跡一 高橋遺跡 往還路中、古昔有橋 長八間横三間 高一丈五尺許、板橋 而古来号之高橋 東山帝宝永依中埋其沢爲平地 今無其橋。
石凡二 鬼石在、鹿島社下田中。高六尺許 圍三丈許、伝云、埋大武丸ノ屍處。アバラ石 隔鬼石一町許在田中、長六尺許濶四尺許平石也。
古壘凡二 其一 伝云、葛西家臣小岩伊賀 不伝所居。其二 同上。
川一 牧田川 源出自本邑西沢 而至一関邑会清井川。
橋凡三 各土橋 其一 長六間半濶一間半 追分沢。其二 長六間濶一間半 鍋倉沢。其三 長五間半濶二間 牧田橋。
道凡二 其一 本郡一関駅 南栗原郡有壁駅往還大道。其二 往栗原郡岩ヶ崎邑間道。
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注１：加賀白山比咩神社の分社で全国(沖縄県、宮崎県を除く総て)に２７００程ある。本社は菊理媛神、イザナギノミコト、イザナミノミコトを祭神とする。創立は第十代崇神天皇の御代と伝えられ、養老元年(七一七)僧泰澄はじめて白山に登拝。
注２：埼玉県所沢市に「北野天満天神社」があり、縁起によると日本武尊が東征で武蔵国へ渡られたとき、櫛玉饒速日命(＝物部氏の氏神)を祀り、物部天神社と称したと有る。
注３：大宝年間(７０１～７０４)、役小角が泰澄を伴って愛宕山に登り禁裏に奏上して山嶺を開き、 朝日峰に神廟を造立。(「山城名勝志」の白雲寺縁起)全国に８００余の分社を有し、防火・火伏の神として崇敬されている。
注４：京都祇園社(八坂神社)の祭神。高句麗系の帰化人、八坂氏の氏神であり、素戔鳴尊を祇園精舎の守護神である牛頭天王に比定して、祇園社は牛頭天王、祇園天神、武塔天神などとよばれた。祇園精舎の守護神とされる牛頭天王は、印度九相国、吉祥国の王で、非常に荒神であったため、わが国では素戔鳴尊と習合され、京都八坂神社の祭神とされたものである。
注５：紀伊半島南部熊野にある熊野本宮の分社で全国に３０００社以上ある。熊野本宮は、崇神天皇６５年に社殿が創立されたと(皇年代略記)(神社縁起)ある。水神系の様である。
天正元年(一五七三年七月二八日)～天正二〇年(一五九二年一二月七日)正親町帝、後陽成帝
平城天皇：在位 大同元年(八〇六年)三月一七日～大同四年(八〇九年) 四月一日
底本：「復刻 眞瀧村誌」
２００３（平成１５）年６月１０日発行
発行者 眞瀧村誌復刻刊行委員会
代表 蜂谷艸平
２００４年３月１０日作成