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第七節 授 業 料
維新前ハ勿論、明治四、五年頃ハ、別ニ定リタル規定ナク、父兄ハ互ニ申シ合セ教師ノ生活シ得ル丈ケノ米穀ヲ貢ギテ、以テ報酬ニ当テタルモノトス。而シテ、正月、盆、五節句等ニハ、鏡餅其ノ他季節ノ物ヲ贈ルヲ例トシタルモノニテ、一定ノ授業料ナルモノナカリシナリ。
明治五年ヨリ之レ等米穀ヲ貢グコト廃セラレ、肝入ニ於テ、一定報酬ヲ教師ニ給シ、又学校ノ経費ハ租税ニヨルコトトナリタレドモ、過渡期ノ事故シバラクハ、從前ノ例ニ依レルガ如シ。
明治十年頃ヨリ授業料ヲ徴収シ経費ニ充テタル事実アリ。額ハ生徒一人ニツキ金五銭トシ、学務委員又ハ教員ニ於テ、之レヲ取扱ヘリ。當時ノ授業料ニ関スル規定等ハ、知ルニ由ナシ。
明治二十二年町村制施行ニ際シ、十一月五日決議授業料徴収法、左ノ如シ。
本県令第七十六号ニヨル小学校授業料額及徴収法ヲ定ムル左ノ如シ
明治二十三年十一月五日議了
第一条 父母後見人ハ児童ノ入学スル小学校ノ経費ニ充フルタメニ授業料ヲ収ムベシ
第二条 児童一人一ヶ月授業料額平等金五銭、但他区ヨリ入学スルモノハ金七銭ヲ徴収ス
第三条 一家二人以上ノ児童ヲ入学セシムルトキハ其ノ一人ノ外授業料定額ノ半ヲ減ス
第四条 授業料ハ毎月一日ニ前納スベシ。但一日以後ニ入学スル者ハ即納スベシ
第五条 授業料ハ入学ノ月十五日後ニ渉ルトキハ半額ヲ徴収ス
第六条 定期休業其他学校ノ都合ニヨリ一ヶ月以上ニ及ブトキハ授業料ヲ徴収セズ
第七条 病気休業延イテ一ヶ月以上ニ及ブトキハ授業料ヲ徴収セズ
第八条 本規定ハ本年本月ヨリ施行ス
此クシテ授業料ヲ徴収シ経費ニ充テ来リ、其ノ額ニモ増減アリ。漸次増額シテ、明治四十年ニハ、尋常科高等科生共、一人金弐拾銭ヲ徴収セリ。然ルニ、之アルガ故ニ、就学ニ影響ヲ及ボシ、且又、義務教育トシテノ精神ニ及スコト、一般知悉セラルニ及ビ、明治四十三年ヨリハ、尋常科生徒ヨリハ授業料ヲ徴収セズ。高等科生ハ金弐拾銭トシテ今日ニ及ベリ。
第八節 補習教育
小学校補修科ヲ設ケタルコト、前述ノ如シ。狐禅寺、滝沢両小学校補修科ハ、共ニ高等科併置ト共ニ廃止セラレ、眞柴小学校ノモノ又同時ニ廃止セラル。
実業補修学校ハ、明治三十五年一月文部省令第一号実業補修学校規定発布セラルルニ当リ、当局ノ指導奨励アリ、且又、本村ノ状況ヨリ見テ、此ノ種学校ノ必要ヲ感ジ、明治三十九年五月眞柴尋常小学校ニ、明治四十年七月、狐禅寺尋常高等小学校ニ、農業補修学校ヲ附設シ以テ補習教育ノ実ヲ挙ゲントセシガ、経費ノ不十分」ナル、到底完全ナル施設経営ヲナス能ハズ。
一方、村民未ダ補修学校ノ何物タルヲ解セザリシガ故カ、就学生徒少数ニシテ所期ノ成績ヲ収充能ハズ、時恰モ義務教育年限延長ノ令出ズルアリ。経費上ニ特ニ必要ヲ生ジテ、明治四十三年三月、愈々前記二校ノ農業補修学校ヲ廃止スルニ至レリ。
業トシテ施行スルコトトセリ。
第九節 特殊教育
本村ニハ特殊教育ノ機関設備ナシ。特殊児童、即チ盲唖白痴ノ者又少キハ本村ノ幸トスル所ナリ。現在（大正五年十月）ニ於テハ唖生一人アルノミ。
不良少年トミナスベキ者モ又、皆無ナリ。從テ、其ノ教育方法機関ノ設備ナシ。
第十節 中等教育・大学教育
古来、農民ニハ教育ノ必要ナシトイフ旧慣ニトラワレテ、中等以上ノ教育ヲウケタルモノ少シ。サレド、近時、教育ノ必要ノ自覚ニヨリ、着々向学心ニ燃エ各種方面ニ進学シツツアリ。
滝沢学区内 中等以上学校卒業者数
中学校卒業 五、 女学校卒業 三
実業学校卒業 二、 中等講習終了 二
師範学校卒業 三、 高等学校卒業 一
専門学校卒業 二、 大学卒業 一
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底本：「復刻 眞瀧村誌」
２００３（平成１５）年６月１０日発行
発行者 眞瀧村誌復刻刊行委員会
代表 蜂谷艸平
２００４年３月１０日作成