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第四節 食事
食事ハ、通常、三回、朝昼夜ニシテ、労働者ハ小昼飯ト称シテ午前一回、又ハ午前午後各一回宛、握飯・団子・餅等ヲ食スルヲ普通トス。
然ルニ近時、アマリ用ヒズ、食物ハ一般ニ粗ニシテ、通常、米ニ麦ヲ混食シ、香物(大根又ハソノ他ノ漬物)ト汁(味噌汁)ヲ用フ。
然シテ、朔日、一五日、二十八日及何等カノ縁日ニハ、米飯、小豆飯、餅又ハ赤飯(強飯)ニ魚肉ヲ用フ。
餅ハ次ノ中、三種位ヲ用フ。
小豆餅(しるこ餅)、納豆餅、ごま餅、くるみ餅、しやうが餅、じだ豆餅、なます餅、雑煮餅
〈附〉家族団欒ノ状ー「中心ハ櫨ニアリ」
家族ハ老若男女、朝夕、櫨ヲ取リ囲ミテ団欒ス。本村農家団欒ノ中心ハ櫨ニアリト云フベシ。
戸主ハ即チ一家ノ元首ニシテ祖父子孫皆ヨク其ノ命ヲ守ル風アリ。婦ハ男子ニ苦楽ヲ托シテ木偶人ノ如ク自己ノ位置ト人権ノ何者タルヲ解セザル者多キガ如シ。之レ種々ノ原因習慣ノ然ラシムルナランモ、一ニハ女子ノ男子ニ比シ、教育程度ノ一般ニ低キニヨルナルベシ。
子女ニ対スル関係、其宜シキヲ得タリト云フベカラズ。即チ一般ニ父、厳ニシテ祖父母ハ余リニアマヤカシ風アリ。言語、挙動、作法等、左程注意ヲ払ハザル風アリ。母親ノ育児法、教育法等ハ此ニ記スルノ価値アル事項無シ。
主僕ノ関係ヲ有スル者アル家庭、少シ此ノ関係アル家庭ハ一般ニ本村上流者ニ多キヲ以テ、相当ノ取扱ヒヲナス者多シ。最モ奴僕モ家族同様、常ニ飲食居室ヲ共ニスルヲ以テ、中ニハ奴僕ト見エズ、兄弟又一家族ト見エル様ノ親シミアル者少カラズ。
男女ノ関係ハ、一般ニ、女子ヲ卑下シテ見ル者多シ。然レドモ之レ通常ノコトトシテ敢テ怪マズ。故ニコノ関係、甚ダ親密ナラズ。女子ハ常ニ蟄居スルヲ寧ニ楽トナス赴キアリ。
祖父母ハ、別間別室等ニ即チ隠居スル者モ無キニアラザレドモ、一般ニ家族ト同居シ、起居動作ヲ共ニスル者多キハ美風ト云フベシ。
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底本:「復刻 眞瀧村誌」
2003(平成15)年6月10日発行
発行者 眞瀧村誌復刻刊行委員会
代表 蜂谷艸平
2004年3月10日作成