四、荒地及土地開墾ノ状況
　從来ノ耕地ニシテ荒地トナリシモノモ不尠ベシ。先ヅ国道敷地ヲ初メ、鉄道敷地・県道敷地トナリシモノ及年々水害等ノタメ崩壊シテ荒地トナリタルモノ、次ノ如シ。

　一、鉄道線路敷地免租トナリシ土地
　明治弐拾弐年中、鉄道開通ニ依リ、賣収セラレタルモノナリ。

地 價 代 金	眞 柴	大 字
一 六 〇 一 五 二 八 リ	五 五 七 二 三 歩	田
四 六 一 一 九 リ	四 八 二 九 歩	畑
二 一 二 九 リ	五 八 一 五 歩	山 林
六 四 三 リ	一 一 二 五 歩	原 野
一 六 五 〇 四 七 三 リ	六 丁 七 反 七 畝 七 歩	計

　二、気仙沼街道敷地免租トナリシ土地
　明治弐拾六年六月、改修ニ依リ賣収セラレタルモノナリ。

計	狐 禅 寺	三 関	大 字
九 三 〇 二	七 九 〇 八	一 三 二 四 歩	田
一 一 九 二 八	五 四 二 二	六 五 〇 六 歩	畑
一 二 一	一 一 四	七 歩	宅 地
二 七 〇 二	二 七 〇 二	歩	山 林
三 〇 二	二 一 二	一 九 歩	原 野

　三、水害等ノタメ荒地免租トナリシ土地（年期付中ノモノ）

計

大 正 二 年

大 正 二 年

大 正 元 年

明 治 四 五 年

明 治 四 四 年

明 治 四 三 年

明 治 三 七 年

明 治 三 〇 年

明 治 二 九 年

明 治 二 七 年

明 治 二 四 年

明 治 二 二 年

年 次

一 二 七 九 三

五 一 五 歩

地 價 一 二 七 九 三

五 一 五

歩

田

八 九 五 九 三 六 リ

一 〇 二 六 二 八 歩

仝 一 五 四 〇

一 一 八 歩

仝 五 二 二 〇

一 〇 二 二 歩

仝 二 一 〇 三 八 〇

二 八 三 〇 五 歩

仝 三 六 一 五 〇

七 四 二 二 歩

仝 三 七 四 八 〇

三 八 二 四 歩

仝 一 一 七 四 五

二 四 一 〇 歩

仝 八 〇 一 四 四

八 八 一 六 歩

仝 五 五 八 四 七

六 六 〇 八 歩

仝 七 六 三 四 二

七 七 一 〇 歩

仝 一 八 二 五 九 二

一 七 四 二 六 歩

地 價 一 九 八 四 九 六

一 八 六 一 七 歩

畑

二 七 〇 リ

六 一 八 歩

地 價 二 七 〇

六 一 八 歩

歩

原 野

小 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

大 正 三 年 中 磐 井 川 出 水 ノ 際

ノ 小 際 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

大 正 二 年 五 月 中 磐 井 川 出 水

ノ 際 小 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

四 十 五 四 月 中 年 磐 井 川 出 水

小 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

四 十 四 年 磐 井 川 出 水 ノ 際

小 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

四 十 三 年 中 滝 沢 川 出 水 ノ 際

ノ 際 小 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

三 十 七 年 狐 禅 寺 地 内 磐 井 川 ノ 洪 水

ノ 際 小 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

三 十 年 狐 禅 寺 地 内 磐 井 川 ノ 洪 水

ノ 際 小 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

二 十 九 年 狐 禅 寺 地 内 磐 井 川 ノ 洪 水

ノ 際 小 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

二 十 七 年 狐 禅 寺 地 内 磐 井 川 ノ 洪 水

ノ 際 小 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

二 十 四 年 狐 禅 寺 地 内 磐 井 川 ノ 洪 水

ノ 際 小 欠 荒 地 ト ナ リ タ ル モ ノ

二 十 二 年 狐 禅 寺 地 内 磐 井 川 ノ 洪 水

適 要

※荒地トナレルモノ前記ノ如クナレドモ、一方ニテハ国有林野ヲ拂下ゲ、又、民有原野中適當ナル土地ヲ開墾シテ耕地トナスヲ以テ、從来ヨリ反テ　耕地ニ増加ヲ見ルニ至タレリ。
　其ノ開墾種別及反別、左表ノ如シ。

　累年別開墾地種別反別表

計	大 正 　 三 年	明 治 四 五 年	明 治 三 八 年	明 治 三 二 年	明 治 二 三 年	年 次
四 丁 五 一 七	二 一 六	九 〇 八	二 一 〇 四	二 八 〇 〇	歩	田
一 二 七 四 〇 四	六 一 一 一	一 七 〇 六	一 八 一 五	五 七 一 八	四 二 一 歩	畑
一 九 五 二 四 歩 二 〇 三 坪	六 五 坪		二 一 八	一 五 〇 五	一 五 〇 五 歩	宅 地

　高久開墾地
　当地ハ、一関町地主町・亀卦川久右ェ門ノ経営スル処ニシテ、未ダ開墾成功ノ届出ナケレ共、当地方ニ於テハ實ニ紹介スルニ足ル廣大ナル開墾地ニシテ、亦最近ノ農法耕作法ヲ應用シテ、労力ヲ省キ、経済的肥料ヲ施ス等、参考トナル点不尠トス。
　亀卦川氏ハ、当地方有名ナル事業家ナリ。明治□□年、国有林野拂下ケ告示ヲ見ルヤ、之レヲ拂下ゲ、直ニ技手ヲ名古屋方面ヨリ聘シテ開墾ノ測量ヲナサシメ、同年秋季ヨリ開墾ニ着手シ、両三年ニシテ本村内ニ左ノ開墾ヲ見ルニ至レリ。
　一、開墾地域及反別
　　眞柴字中田山　　畑凡　拾参町歩
　　三関地内外山　　畑凡　参拾町歩
　二、裁植作物
　　桃（水蜜桃過半）　凡
　　　　其他数種裁植
　　櫻　桃　　　　　　凡
　　葡　萄　　　　　　凡
　　梨　　　　　　　　凡
　　桑　　　　　　　　凡
　※桃ハ一昨年頃ヨリ漸次結果ヲ見ルニ至レリ。其ノ本年ノ賣上高ハ凡□□ナリト云フ。
　下作物ニハ、陸稲麦ヲ主トシ、外ニ大豆・小豆類・南瓜・芋類ヲ栽培ス。陸稲ハ当地方ニテ栽培セラレタルハ、氏ヲ以テ嚆矢トシ、初年ニハ種子ヲ諸方ヨリ
購入シテ試験的ニ栽培セシガ。今ハ成績良好ニシテ、水稲ニ匹敵スベキ収穫ヲ得、麦・大豆・其他相應ノ成績ヲ挙ゲ居レリ。
　然レ共、面積ノ廣大ナルニ比シ、施肥ノ量不足ノ感アルガ故ニ、土地ニ依リ其ノ成績ニ甲乙ノ差ヲ見ルハ遺憾トスル所ナリ。
　三、肥料ノ供給
　場内所々ニ堆肥場アリテ、堆肥製造ヲナス。材料ハ場内ヨリ得ル作物ノ殻蔓葉草類ノミニテハ到底不足ナルヲ以テ、日々一関町ヨリ塵埃ヲ運搬シ、又一方、国道県道ヨリ馬糞其他ノ汚物ヲ集メテ、以テ堆積ス。之ヲ根肥トシテ、外ノ人糞尿・豆粕其他ノ肥料ヲ用フ。
　四、場内ノ道路
　場内ニハ、縦横ニ幅九尺余ノ車道ヲ通シ、自由ニ荷馬車ヲ通行ヲナスコトヲ得ベク、料肥料ノ運搬・作物収穫等、利便ヲ極ム。
　五、収穫舎及農舎
　字中田及外山（外ニ一関町字澤ニ一ヶ所）ノ二箇所ニ農舎ヲ設置シ、各々収穫舎ヲ付設シアリテ、農作物ノ脱穀収穫ヲ便ス。農舎ニハ、常ニ農夫ヲ置キテ管理セシム。農場トシテハ、日尚浅キヲ以テ、不完全タルヲ免レザレドモ、開墾地トシテ設備ハ至レルモノト云フベシ。


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底本：「復刻　眞瀧村誌」
　２００３（平成１５）年６月１０日発行
発行者　眞瀧村誌復刻刊行委員会
代表　蜂谷艸平
　２００４年３月１０日作成