中山間地域とは
平地以外の山地に至る、傾斜地や山林が多く平坦な耕地の少ない地域のことです。
平野の外縁部から山間地を指し、山地の多い日本では中山間地域が国土面積の65%を占めています。
中山間地域は河川上流域に位置することから、地域の農業・農村が持つ水源のかん養、洪水の防止、土壌の侵食・洪水の防止、自然環境の保全などの多面的な機能によって、私たちの生活に多くの恵みをもたらしてくれます。
一方で、平地に比べ傾斜面が多いことによる産業活動の低迷や、農業者の高齢化による担い手不足、耕作地放棄、森林の荒廃、集落機能の低下など、中山間地域は多くの課題に直面しています。
そこで国は、平地に比べて不利な生産条件によって発生する生産コストの割高を交付金還付で補正し、中山間地域の農業生産の維持を通じて、地域が持つ多面的機能を確保することを目的とした「中山間地域等直接支払制度」を創設しました。
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この制度は平成12年度より開始されましたが、より取り組みやすい制度へと見直しが行われ、平成22年度から3期目の新制度が開始されました。
当改良区では制度の発足した平成12年度から、須川土地改良区内の農地を耕作する農家を対象に「須川国営開発地域営農組合」を組織し直接払い制度を活用した農用地の保全活動に取り組んでいます。
平成11年7月16日に「食料・農業・農村基本法(新農基法)」が施行されました。新農基法は、昭和36年に制定された農業基本法が約40年を経て、食料、農業及び農村をめぐる情勢の変化を踏まえ、新たな理念の下に政策体系を再構築したもので、21世紀における食料、農業及び農村に関する施策の基本指針となるものです。
新農基法には多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、中山間地域等の振興等が規定されました。
● 食料・農業・農村基本法 第一章 総則 (多面的機能の発揮) |
第三条:国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等農村で農業生産活動が行われることにより生ずる食料その他の農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能(以下「多面的機能」という。)については、国民生活及び国民経済の安定に果たす役割にかんがみ、将来にわたって、適切かつ十分に発揮されなければならない。
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● 食料・農業・農村基本法 第一章 総則 (農業の持続的な発展) |
第四条:農業については、その有する食料その他の農産物の供給の機能及び多面的機能の重要性にかんがみ、必要な農地、農業用水その他の農業資源及び農業の担い手が確保され、地域の特性に応じてこれらが効率的に組み合わされた望ましい農業構造が確立されるとともに、農業の自然循環機能(農業生産活動が自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能をいう。以下同じ。)が維持増進されることにより、その持続的な発展が図られなければならない。
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● 食料・農業・農村基本法 第二章 基本的施策 第四節 (中山間地域等の振興) |
第三十五条:国は、山間地及びその周辺の地域その他の地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域(以下「中山間地域等」という。)において、その地域の特性に応じて、新規の作物の導入、地域特産物の生産及び販売等を通じた農業その他の産業の振興による就業機会の増大、生活環境の整備による定住の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
国は、中山間地域等においては、適切な農業生産活動が継続的に行われるよう農業の生産条件に関する不利を補正するための支援を行うこと等により、多面的機能の確保を特に図るための施策を講ずるものとする。
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中山間地域等直接支払制度のあらまし
対象地域
原則として、自然的・経済的・社会的条件が不利な次の地域振興法3法(特定農山村法、山村振興法、過疎法)の指定地域です。
また、岩手県では地域振興法3法の指定地域のほか、地域の実態に応じて知事が指定する自然的・経済的・社会的条件が不利な地域を特認知域としています。
対象農用地
上記対象地域内の農用地域内にある1ha以上の一団の農用地で、次のいずれかの条件を満たす農用地が対象です。
急傾斜農用地(田1/20以上、畑・草地・採草放牧地15度以上の傾斜)。
地形などの自然条件による小区画・不整形な田。
1:団地内のすべての田が不整形であり、圃場整備が不可能であること。
2:30a未満の区画の合計面積が団地内の田の合計面積に対して80%以上であること。
3:団地内の田の区画の平均面積が20a以下であること。
市町村長が必要と認める緩傾斜農用地(田1/100〜1/20、畑・草地・採草放牧地8〜15度の傾斜)、高齢化・耕作放棄率が高い集落に在する農地。
県知事が定める基準(特認基準)に該当する農用地。
対象となる方
集落協定に基づき、5年間以上継続して、農業生産活動等を行う農業者。
戸別協定に基づき、5年間以上継続して、農業生産活動等を行う認定農業者。
交付を受けるには
まず、まとまりのある農用地において農業を行っている皆さんで話し合い、参加者の合意の下で集落協定を締結することが必要です。集落協定には、耕作放棄地の発生を防止し、多面的機能の確保を図るために、集落が今後5年間に取り組む内容について定めます。
協定書ができれば、その農用地がある市町へ申請し、認定を受けます。
認定を受けた集落協定の内容が毎年度、適正に実施されたことを市町が確認し、集落協定代表者を通じて交付金が配分されます。
集落協定について
集落協定の基本的事項 |
要 件 |
活動項目 |
活動水準 |
全協定必須 |
農業生産活動等に関わる事項(右の全ての項目を実施) |
集落マスタープランの作成 |
・集落の自律的な農業生産活動を実現するための将来像(10〜15年後の目標)
・将来像の達成するための協定期間(5年間)の毎年度の活動工程表 |
耕作放棄の防止等の活動 |
適切な農用地の維持管理の5年以上の継続 |
水路・農道等の管理活動 |
水路・農道等の維持管理の5年以上の継続 |
多目的機能増進活動等に関わる事項 |
多目的機能を増進する活動 |
周辺林地の下草刈り、景観作物の作付け、土壌流亡に配慮した営農の実施など集落の実態に合った活動を1つ以上実施 |
基本的事項のみの実施では、体制整備単価の8割となります。基本的事項の交付用件に加えて、次の様な活動を行う必要があります。
体制整備に向けた積極的な取組 |
要 件 |
活動項目 |
必須事項 |
「農用地等保全マップ」の作成 |
「農用地等保全マップ」活動の実践 |
選択的必須事項(A・B・C要件の中からいずれか1つを選択 |
A要件(右の要件のうち2つ以上を実施 |
協定農用地の拡大 |
機械・農作業の共同化 |
高付加価値型農業の実践 |
地場産農産物等の加工・販売 |
農業生産条件の強化 |
新規就農者の確保 |
認定農業者の育成 |
多様な担い手の確保 |
担い手への農地集積 |
担い手への農作業の委託 |
B要件(右の要件のうち1つを選択) |
集落を基礎とした営農組織の育成
・協定面積の一定割合以上の基幹的農作業(田の場合は3作業以上)の共同利用 |
担い手への農地の集積化
・協定面積の一定割合以上の利用権等の設定 |
C要件 |
集団的かつ安定的・持続的な体制の整備
・集落協定に参加する農業者等が高齢化等により農業生産活動等の継続が困難となり、農用地が耕作放棄される恐れが生じた場合に、当該農用地について、農業生産活動等を継続し得る体制を構築し、集落協定に位置付けたものに限る |
注:ただし、これらの取組には、協定期間内に達成しなければならない一定の水準があります。
個別協定について
協定農用地の全てが、利用権等を設定した農用地の個別協定は、体制整備単価となります。
自作地を含めた個別協定は、一定割合以上の利用権の設定等の取組を行う場合は、体制整備単価となります。
なお、これらの取組を行わない場合は、体制整備単価の8割となります。
交付単価について 2012年06年25日
地 目 |
区 分 |
10a当たり交付単価 |
体制整備単価 |
基準単価
(体制整備単価の8割) |
田 |
急傾斜 |
21,000円 |
16,800円 |
緩傾斜 |
8,000円 |
6,400円 |
畑 |
急傾斜 |
11,500円 |
9,200円 |
緩傾斜 |
3,500円 |
2,800円 |
草地 |
急傾斜 |
10,500円 |
8,400円 |
緩傾斜 |
3,000円 |
2,400円 |
採草放牧地 |
急傾斜 |
1,000円 |
800円 |
緩傾斜 |
300円 |
240円 |
加算単価
対象農用地 |
条 件 |
地 目 |
田 |
畑 |
草地 |
採草放牧地 |
規模拡大加算 |
担い手が新たに利用権等を設定した農用地を5年間以上継続して耕作 |
1,500円 |
500円 |
500円 |
- |
土地利用調整加算 |
担い手に対し、新たに協定面積の一定割合以上において利用権等を設定 |
500円 |
500円 |
- |
- |
小規模・高齢化集落支援加算 |
小規模・高齢化集落内の対象農用地を含めて協定を締結 |
4,500円 |
1,800円 |
- |
- |
法人設立加算 |
新たに特定農業法人を設立 |
1,000円 |
750円 |
750円 |
750円 |
新たに農業生産法人を設立 |
600円 |
500円 |
500円 |
500円 |
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