問題克服の処方箋 | |
Ⅰ 自治体におけるごみ行政の経緯 1 廃棄物行政の沿革 2 容器包装リサイクル法 1 廃棄物行政の沿革 日本において、1889年の市町村制以前のごみ処理は、自己処理か、または民間のごみ処理業者に依頼して行われた。ごみ処理業者は適宜これを集めて有価物を選別し、その売却で利益を得ていたという(2)。1900年には「汚物掃除法」が制定された。当時、伝染病の大流行に見舞われた日本にとって、伝染病を媒介とする衛生害虫の発生や不衛生な水路への対策は重要課題であり、こうした公衆衛生対策の見地から廃棄物管理が取り上げられた(3)。 第二次世界大戦後、1954年に、衛生的で快適な生活環境を保持するために「清掃法」が制定された。清掃法は、汚物掃除法の考えを踏襲し、ごみ処理は市町村の責務であること、衛生的観点から清掃区域を定めてごみを計画的に収集、処理すべきことなどが定められた。 1970年には経済成長に伴って廃棄物発生量が増大し、質が多様化したことを受け、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法とする)」が制定された。この法律による規制は、都市ごみの管理だけでなく、産業活動に伴って排出される「産業廃棄物」にまで及んでおり、環境保全のための法規制の基本的枠組みが確立された。廃棄物処理法では、清掃法の衛生処理は当然のこととして、これに「生活環境の保全」が追加されたのである。 さらに、「一般廃棄物」「産業廃棄物」の区分が設けられ、この区分は、事業者の公害対策の基本原理として取り入れられた汚染者負担の原則(PPP=Polluter Pays Principle)の考え方に基づいている。ごみ処理に関して、国は4条の3で、都道府県は4条の2で、市町村は4条で、事業者は3条で、市民は2条の 3でそれぞれの役割や責任が明確にされた。 廃棄物処理法は清掃事業の近代化に大きな役割を果たしたが、ごみ減量やリサイクルの促進についての規定がほとんどないことや、有害廃棄物や汚染性廃棄物に対する規定が整備されていないことが指摘され、産業廃棄物について広域処分体制を整備するなど新しい課題を取り入れて、1991年に大幅に改正された。 2000年には、廃棄物処理法が改正され、民間事業者の責任で処理されてきた産業廃棄物についても、自治体の税金による処理負担が可能となった。 2 容器包装リサイクル法 容器包装廃棄物の一般廃棄物に占める割合は容積比で6割、重量比で2~3割を占めている。1995年には、この容器包装廃棄物の減量および再生資源の利用を目的とした「容器包装リサイクル法」が制定され、1997年から「ガラスびん」と「ペットボトル」について大企業を対象に本格実施された。2000年から容器包装リサイクル法が完全施行され、対象品目が「紙製容器包装」と「プラスチック製容器包装」にも拡大され、それまで法律の適用を猶予されていた中小規模事業者にも適用されることになった。 この法律では、市民、事業者、地方自治体の責務が記されている。消費者は分別収集に協力(分別排出)する、事業者は市町村が分別収集した容器包装廃棄物を自ら、または指定法人やリサイクル事業者に委託して再商品化する、市町村は容器包装廃棄物の分別収集を行うなどである。市町村が容器包装リサイクル法を導入した分別収集を実施する時は、「市町村分別収集計画」を定めなければならない。しかし、容器包装リサイクル法を採用するかどうかについては任意であり、市町村に分別収集を義務付けるものではない。 問題克服の処方箋 近 藤 邦 明氏 『環境問題』を考える より |
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更新履歴 新規作成:Mar.6.2009 最終更新日:Mar.12.2009 |
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