問題克服の処方箋
Ⅱ 名古屋市のごみ行政

1 2000年以前の名古屋市のごみ行政
2 2000年以降の名古屋市のごみ行政


1 2000年以前の名古屋市のごみ行政

 1990年代の名古屋市のごみ収集は可燃ごみ、不燃ごみ、空き缶・空きびんの3種類で指定袋などなく、ほとんどが黒色で中身が見えない袋を使用し、分別は徹底されていなかった。可燃ごみは、不燃物や資源を混ぜたまま焼却され、不燃ごみは、可燃物、金属などを混入したまま直接最終処分場に埋められていた(95年度埋立量:約31万t)。
 一方、1998年からは、ペットボトル(98年度収集実績:約600t)、紙パック(98年度収集実績:約220t)の拠点回収を開始し、粗大ごみを有料化(250~1,500円)した。
 名古屋市では、愛岐処分場をはじめ3ヵ所の処分場で埋立を行っている。1999年始めの時点で、2001年度中にこれらの処分場がすべて満杯になると見込まれた。そして、満杯になった後、名古屋港西一区(以下、藤前干潟という)を新たな処分場にする計画(46.5ha)を立てていた。しかし、多方面の反対から1999年1月藤前干潟埋立事業の断念を決めた。加えて、港区にあった旧南陽工場(焼却場)が老朽化のため操業停止となったことで、名古屋市のごみ対策が窮地に追い込まれた。それまで名古屋市は藤前干潟事業を見込んでいたため、危機感というものがなく、ペットボトル、紙パックを除き、分別に力を入れていなかった。ごみ問題はまだ遠い先の話であると認識していたが、この埋立て事業断念によりごみ減量施策が名古屋市の必須事項となった。
 1999年2月、名古屋市は2000年度中に20万tのごみ減量目標を掲げた「ごみ非常事態宣言」を市民に呼びかけ、「空きびん・空き缶などの資源回収の拡大」、「集団資源回収の活性化」、1日100g減量を合言葉に「ごみ減量チャレンジ100」運動の展開などの取り組みも訴えた。

2 2000年以降の名古屋市のごみ行政

 名古屋市が、1999年度で市民に呼びかけた20万tの減量は、実際には2000年度で半分しか達成できなかった。そこで、2000年度には事業系ごみを全量有料化し、容器包装リサイクル法を完全実施することでごみ減量を達成するという計画を立てた。その背景には、当時知多沖に処分場を建設する計画があったが、知多市から「名古屋市は何でも焼却し、埋立てている」と批判され、これに応える必要があったのである。容器包装リサイクル法導入という新しい方式で行うとなれば、市民、職員などの報告、教育、説明などの準備が必要になってくる。名古屋市は、2000年4月から本格的に準備に取りかかり、「広報なごや」で告知をし、住民説明会も各町内会単位で実施し、のべ約2,300回の説明会を行った(4)。また、市民からの問い合わせに対応するために専用のホットライン開設など様々な対策を講じた。
 名古屋市は、容器包装リサイクル法導入による新分別収集は、市民負担の増大等、問題が生じることを認識していた。しかし、愛岐処分場の満杯、藤前処分場の断念、知多処分場の先行不透明によってとにかくごみの量を減らさないといけない。そうしないとごみの行き場がなくなることから、容器包装リサイクル法を忠実に取り入れることを優先させた。2000年度には資源・ごみの流れは、図1のとおりとなった。



 可燃ごみ(66万t)は全量そのまま焼却する。飛灰の一部は事業者委託で溶融し、他は埋立てる。不燃ごみは一旦破砕施設で可燃物(7万t)、直接埋立(4万t)・不燃物(1万t)・資源(1万t)に再分別され、それぞれ処理される。なお、2001年度から直接埋立は廃止された。空きびん・空き缶、ペットボトルなどの容器包装リサイクル法適用物は選別・保管施設に行き、民間工場などで資源化される。新聞・雑誌・ダンボールなど容器包装リサイクル法適用物以外は、市民などによる自主回収で集め、回収業者が引き取り資源化する。資源に含まれる不純物は、各事業者が産業廃棄物として処理するので、名古屋市の管轄から除かれる。
 これらの処理によって、2000年度には一般廃棄物扱いは前年92万tに対し79万tとなった。ごみ減量20万tには失敗したが、埋立量は前年22万tに対し15万tと激減した。

(1)収集・分別

 ごみと資源の収集は、各行政区ごとに設置している環境事業所が行い、可燃ごみ、不燃ごみ、スプレー缶、粗大ごみ、資源の5体系に分類して収集している。しかし、名古屋市のごみを包む袋(レジ袋を含む)は、可燃ごみ、不燃ごみ、資源、紙製容器包装、プラスチック製容器包装の5種類であって、分類とは対応しない。
 可燃ごみとは台所ごみ、紙くずなどであって、これらも容器包装ごみとそれ以外に分別する。その収集方法は、各戸収集を原則としているが、路地などにおいては、所定の場所への持ち出し協力を願い、集合住宅での専用のごみ置き場がある場合は、その場所で収集している(5)。
 不燃ごみとはガラス、プラスチックなど30cm角以内のごみであり、容器包装ごみとそれ以外に分別する。洗って出せば資源、汚ければ不燃ごみである。その収集は、従来約50世帯に1か所の割合で設定した集積場でステーション収集をしていた(6)。新分別収集開始当時、正しく分別されていないごみや資源は「ルール違反」として収集されなかった。このため、以前は多少の「違反」があっても収集されていた不燃ごみが、収集所に取り残されるようになった。不衛生であるため、市民から各戸収集の要請があり、名古屋市は2001年7月から不燃ごみを各戸収集に移行させた。
 従来スプレー缶は不燃ごみとして収集していたが、収集車両や処理施設での火災を防止するために、2000年8月から不燃ごみとは別にスプレー缶類として分別し、不燃ごみと同じ収集曜日に同じ場所で収集している。
 粗大ごみ収集は従来、ステーション収集(おおむね年5回)を行っていたが、1992年7月以降申込制による各戸収集に順次切替え、1996年10月から全市で実施している。申込制の各戸収集とは、各家庭における粗大ごみの長期間保管、長距離持ち出し、集積場所の確保難、また事業系廃棄物の混在などの諸問題を解決するため、地域により決められた収集日(月1回)に原則として各戸収集(集合住宅の場合は1階入り口付近)するものである。
 資源収集のうち、新聞紙など古紙は、以前から存在していた市民による自主回収を強化した。これとは別に空きびん(約2万t)、空き缶(約900t)、プラスチック製容器包装(約11万t)、紙製容器包装(1000t)、ペットボトル(約4000t)の5品目を加えてステーション収集している。ステーション収集は2000年8月から2週間に1回実施していたが、2001年4月から毎週実施している(7)。
 使用済みレジ袋は、容器包装リサイクル法でいう資源であるが、使用前であれば不燃ごみ、名古屋市の可燃ごみ袋であることが印刷されていれば、可燃ごみを入れて排出してもよい。
 名古屋市は資源の袋について透明、半透明であれば指定袋でなくても排出でき、スーパの袋に指定袋の印刷がなされているのも指定袋と認める暫定的な対応をしている。
 事業系一般廃棄物は、5体系分類、5種類袋方式ではなく、可燃ごみ、不燃ごみの2種類に分類し、その収集は有料となっている。事業系のごみを出す時は、有料シール(10リットルの指定袋につき1枚42円、45リットルの指定袋につき1枚89円)を各商店、スーパー、コンビニなどで購入し、事業系ごみ用の指定袋に貼って出すことになっている。
 可燃ごみは週2回、不燃ごみは週1回でともに地区ごとに決められた曜日に収集し、収集日1回につき45リットルまでと排出を制限している。不燃ごみについては、家庭から排出される不燃ごみと同じ種類のものに限られている。資源(紙パック・段ボール以外の空きびん・空き缶・ペットボトル・プラスチック製容器包装・紙製容器包装)は、収集量が収集日1回につき45リットルまでとしている(8)。
 45リットルを超える場合は、市民搬入という形式を使う。これは、事業者などの市民が、市域内で排出した廃棄物を、排出区の環境事業所の搬入承認を得た後、廃棄物の種類により焼却工場及び埋立処分場及び破砕施設へ直接搬入する(1キログラムにつき10円)。この量は、市の処理量の約30%を占めている。
 市民搬入には、大別して2形態ある。

①市民生活をするうえで、臨時に大量の廃棄物を排出する場合(引越し、火災の後始末のごみなど)
②事業活動に伴って排出されたごみ(事業系一般廃棄物:喫茶店、商店から排出される食物くずなど)

 なお、1999年10月から市への産業廃棄物(汚泥など19品目)の受け入れを全面的に中止している(9)。
 古紙、古着、ペットボトルの収集は自主回収となっている。古紙の回収方法として集団回収、リサイクルステーション、古紙リサイクルセンターを利用している(表1参照)。



 集団回収には、2種類の方式があり、一般方式と学区協議会方式がある。前者は、子供会・PTAが回収する。後者は、小学校区単位で資源回収活動をする団体(学区連絡協議会会長の承認が必要)が、新聞販売店・古紙業者の協力で、住民の作業負担を減らした新方式で回収する(2000年度新設・5割の学区で活動開始)。リサイクルステーションは、市民グループが、定期的にスーパーなどで資源を回収する方法である。古紙リサイクルセンターは、古紙業者が定期的に自社のヤードで古紙を受け入れる方式である。
 1998年度と2000年度を比較すると、合計で回収された古紙は約5万tから約10万tへ2倍程度増加した。このことから、名古屋市の扱うごみは、古紙だけで5万t減ったことを意味
する。これが「ごみ非常事態宣言」をしてからのごみ減量化・資源化の成果の内容である。
 古着等は、リサイクルとして回収される量が増えている。中部リサイクル運動市民の会によると、1998年度に2500tの古着やぼろ布が持ち込まれた。 1999年度は約1.7倍の4400tになった。2000年度では、8月以降に急増し、1999年度を上回る勢いで増えているという(2001年1月31 日付朝日新聞)。あまりの多さに処理しきれず現在資源としての回収はせず、綿・毛など自然素材は可燃ごみ、ポリエステルなど合成繊維は不燃ごみとして処理している。
 ペットボトルの回収量も年々増加傾向にあり、2001年は5000tに達すると予想された(2001年8月8日付朝日新聞)。中京ペットボトルリサイクル工場は名古屋市のペットボトルを2001年度3000t引き取る。
 この外、名古屋市は生ごみリサイクル、レジ袋対策などをごみ減量施策として考えている。

 以上、まとめると、名古屋市は2000年8月から容器包装リサイクル法を忠実に取り入れて、ごみを可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみ、資源(紙製容器包装、プラスチック製容器包装、空き缶、空びん等)の16種類に分別し、回収された資源はさらに、びん4種(無色、茶、その他、生きびん)、缶2種(アルミ缶、スチール)に選別しているので合計20種が資源化されることになった(10)。主な資源回収量を表2に示す。



 処理過程は可燃、不燃、粗大ごみは前に述べたとおりである。資源ルートだが、紙製容器包装は名古屋プラスチックハンドリング(株)、紙製容器包装は愛知県古紙協同組合、ペットボトルは愛知県古紙協同組合と緑・西資源センター、紙パックは緑・西資源センター、空きびん、空き缶は緑・西資源センター、北東部資源保管施設、港資源センターリサイクルみなみ作業所に選別・圧縮梱包のためそれぞれ運ばれる。
 名古屋市は、容器包装リサイクル法を導入したことで、90年代には90~100万tあったごみが、2000年には79万tとなってごみの量の減少に成功したという(表3参照)。



(2)破砕・圧縮及び焼却

 収集されてきた不燃ごみ等は、2000年度まで直接埋め立てていた。しかし、2001年度から廃止し、全量破砕・圧縮処理に移行させた。破砕は大江破砕工場で行い、圧縮は守山南部処分場の施設で行う。また、愛岐処分場小規模破砕施設でも一部破砕を行っている。そこから出てくる破砕可燃物は焼却する。また、同時に磁石により金属等を分別する。
 一般に自治体の焼却率は60~70%だといわれているが、表3に示すように名古屋市では容器包装リサイクル法実施以前1998年までの一般廃棄物は平均 98万tで、そのうち78%程度焼却し、不燃物と焼却灰の合計31万tを処分場に投棄していた。容器包装リサイクル法実施後、資源として分別して、減量し、さらに2000年には焼却率を94%に上げて、処分場投棄を15万tに減らしたのである。図1に示したように不燃ごみ(13万t)を破砕し、可燃物(7万t)を分別して焼却したからである。
 これにより、処分場に搬入される量が減るだけでなく、処分場の地下で可燃物が酸化して減量することによる地盤の不安定さを減らすこともできる。
 この焼却と市民による資源の自主回収などの努力によってごみ減量・資源化の長期計画で掲げている年間排出されるごみ量の目標である「2010年度のごみ量76万t」としたものを新分別収集の開始してから市民の努力、協力で早くも2001年度中にこの目標を達成できそうな状況にある。
 このまま順調に進んでいくと計画の最終年度のごみ量は、最大で62万tまで減らせると名古屋市は見込んでいる(表4参照)。



 名古屋市で稼動している焼却工場は、山田工場、富田工場、南陽工場、の3工場である。今後新たに五条川工場(2004年予定)、新鳴海工場(2009年予定)、猪子石工場(2002年予定)の新設を予定している。
 五条川工場は、隣接5町の可燃ごみも受け入れる広域焼却工場であり、焼却灰(自工場分)の溶融処理施設を併設する。新鳴海工場は、焼却灰(自工場分及び溶融処理施設を持たない他工場分)や破砕不燃物などを溶融処理によって資源化する。また改築には、PFI(Private Finance Initiative)を導入し、民間能力を活用していく計画である。焼却工場でのPFI導入は、前例がないといわれている。
 山田工場と富田工場は、2010年度に設備更新時期を迎える。山田工場は、五条川工場、鳴海工場で処理しきれない焼却灰や不燃ごみなどを溶融処理し、埋立量削減するために、焼却工場から溶融処理施設への転用を図り、富田工場は、生ごみ資源化施設などへの転用を図っていくことになっている。焼却灰については、埋立処分を行ってきたが、埋立処分量の削減を図るとともに、焼却灰中に含まれるダイオキシン類を削減するため、溶融処理を進めている。現在、年間約1 万tの焼却灰溶融(溶融スラグ資源化)を民間企業に委託している。生成物である溶融スラグは、名古屋市の道路工事などへの活用を検討している(11)。また、焼却施設から出る熱をプールなどに使ったり、売電等をしてエネルギー回収する。しかし、新分別収集でカロリーの高いプラスチック製・紙製容器包装の分別が進んだ結果、分別後の生ごみを含んだ可燃ごみが焼却場で燃えにくくなる事態に陥った。1998年度の組成を見るとプラスチック類が約13%を占め、紙類は約40%含まれていたが、新分別収集により、かなりの量のプラスチック類・紙類が「資源」に回り、ごみの質が変化したのである。
 可燃ごみカロリーの減少により焼却能力が低下した。最新の炉が導入されている工場では都市ガスを購入してカロリー調整をしないと完全焼却できなくなっている(2000年9月6日付毎日新聞)。

(3)処分

 現在、市民搬入・破砕処理後の粗大・不燃ごみなどの不燃物及び焼却灰を、愛岐処分場で埋立処分している。その他、焼却灰の一部の処分については、民間処分場に委託している(12)。
 名古屋市が所有する代表的な最終処分場が愛岐処分場である。名古屋市が、岐阜県多治見市の土地を購入し、1979年から埋立事業を開始した。愛岐処分場は、管理型処分場であり、取り扱う廃棄物は不燃ごみおよび焼却灰である。ここでは、名古屋市のごみの他に多治見市のごみも引き受けている。
 1999年に名古屋市は、藤前干潟事業計画を断念した。これに加え、名古屋市のごみ量が102万t、埋立量28万tに達したことで愛岐処分場の残余量が数年で満杯になると予想された。そこで名古屋市は、愛岐処分場の残容量58万tに59万tを上乗せする増量計画を多治見市と岐阜県に申請し、承認を得た。多治見市は承認の条件として、法定外目的税「一般廃棄物埋立税」を導入することを検討、2001年12月多治見市議会は条例案を可決した。
 埋立税は、名古屋市が搬入する一般廃棄物1tにつき500円と設定し、同市から徴収する。さらに前年度の年間埋立量合計が10万tを超えた場合は750円に引き上げる。課税期間は5年間で多治見市では年間搬入量10万t、税収約5000万円を見込んでいる。
 名古屋市は、1979年以降、多治見市に協力金として計2億5000万円を支払ってきたが、「税の新設を国が認めれば対応したい」としている(2001年12月14日付中日新聞夕刊)。
 2001年8月藤前干潟の埋め立て断念に伴う小規模ごみ処分場として、名古屋市が南区加福町に計画していた「第一処分場(仮称)」について3町内会(七条町、県営七条町、泉楽南)に続いて大生学区も受け入れを表明し、11万tの埋め立て地を確保できた。
 2001年11月には、藤前干潟の代替地として最有力視していた名港西5区(愛知県弥富町)の建設用地を白紙撤回する方針を固めた。この地域は、下水処理施設の建設をめぐって地元で強い反対があり、地元対策費などで調整は難航していた。名古屋市は代替地確保の一方、「非常事態宣言」をし、容器包装類の収集を開始した結果予想を上回る減量を達成した。加えて多治見市が愛岐処分場の増量を受け入れ、10年近い延命が可能になり、また、焼却灰溶融処理などの新技術の導入でさらなる埋立減が期待できるほか、つなぎ処分場も両区で建設が決まり事態は好転した。
 当初の計画では、15年間で500万m3を埋め立てる計画だったが、半量の245万m3にできて、海に埋めることから内陸部で済むようになった。今後は、内陸部で数ヵ所の候補地を目指していくという。松原市長は、「海の埋立は非常にコストがかかり、かなり大きなものでないと(割に)合わない」(2001年12月3日付中日新聞)と述べている。

(4)費用

 現在、資源の回収・運搬費用は市が負担している。各資源のkg当りの市が負担する費用は、表5に示すように空きびんはキログラムあたり65円、空き缶は 102円、ペットボトルは140円、紙パックは96円、プラスチック製容器包装は139円、紙製容器包装は89円である。一方、事業者負担は、ペットボトルは74円、プラスチック製容器包装は91円、紙製容器包装は51円である。



 名古屋市環境局によると、1.5リットルのペットボトル1本分の処理費は9円。うち8円が市の負担である(2001年8月8日付朝日新聞)。
 名古屋市は他都市と同様、資源収集協力団体に補助金を支給し資源回収を行っている。名古屋市が資源回収団体に出している補助金は2種類ある。一般方式(PTA・子供会等)は、雑誌6円/kg、その他4円/kgとなっている。学区協議会方式は、実施団体と回収業者の両者に市から補助金が支給される。学区回収の「各戸方式」の場合、団体に対し、1円/kg、回収業者に対し、4円/kg。「ステーション方式」の場合団体に対し、3円/kg、回収業者に対し、 2円/kgとなっている。リサイクルステーション回収は従量制で1回開催当り10,000円+5,000円×トン数である。市が処理すると1t当り 55,000円程度かかることから費用のかからない集団回収に依存している。
 表6に、名古屋市のごみ処理に要した費用を示す。これによれば、2001年度名古屋市一般会計予算総額は、1兆1097億3千万円、その内環境費が 659億2千万円と全体の5.9%を占めている。また、ごみ処理費が環境費に占める割合は、46%(309億円)となっている。容器包装リサイクル法を採用しなかった1998年度と完全採用した2001年度を比べて、職員の人件費は25億円減額し、ごみ収集費用も9億円減額しているのに、総処理費用は32 億円も増額している。その原因は、資源収集費用が69億円も増額しているからである。



 これを詳しく見てみると、1998年度の場合、ごみ処理費用総額が277億円で、その内資源収集費用は17億円であり、その割合は6%であったが、 2001年度には総額309億円に対して、資源収集費用は86億円と、その28%にもなったのである。名古屋市が資源を収集する費用は、市民一人当たり 4000円になっている。
 資源の回収は営業活動であって、本来事業者が完全負担すべきである。名古屋市がこの資源回収に参加することによって、名古屋市のごみ処理費用を減らすことができるのであればともかく、現状のように、多額の税金を投入しなければならないのに、名古屋市がこの営業活動を支援することは、本来の行政の目的に反し、不当であると言えよう。



問題克服の処方箋 近 藤 邦 明氏 『環境問題』を考える より
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更新履歴
新規作成:Mar.6.2009
最終更新日:Mar.12.2009