二酸化炭素地球温暖化脅威説 | |
§5.気候予測数値実験 前セクションまでの論議で、『二酸化炭素地球温暖化脅威説』の科学的な検討は、ほぼ尽くされたのではないかと考える。検討結果から、人為的に大気に付加された二酸化炭素を原因として、地球生態系に脅威的な悪影響が発現することは、現段階ではほとんど杞憂のように思われる。しかしながら、現実には大多数の人々が『二酸化炭素地球温暖化脅威説』を信じている。正にマス・ヒステリーあるいは「科学信仰」と呼べる状況である。 このような状況の背景は、国および政策担当者がIPCCという国際的な権威に対して、(必ずしも科学的ではない)絶対的あるいは宗教的とも呼べる信頼を寄せており、IPCC報告以外の科学的な情報に無関心なためである。 では、IPCCの『科学的』権威の実体とは何なのであろうか?IPCCの中でも、地球温暖化に対する科学的な認識が確立されているわけではない。突き詰めると、ほとんどその唯一の拠所は、気候予測モデルによる数値実験(シミュレーション)結果として人為的に排出される炭化水素燃料起源の二酸化炭素の増加が気温上昇をもたらすということに過ぎない。数値実験結果とはそれほど将来の気候変動を正しく予測することが可能なのであろうか? 5‐1 数値実験の適用限界 自然科学における実験とは、「既知あるいは設定した条件(=制御された条件)の下で、着目する現象の系統的なデータを集めることによって、未知の現象の振舞いを帰納的に把握すること」である。着目する現象が複数の物理量に支配される場合は、想定していない要素の影響を排除するために、着目する現象と、それに関係する単一の物理量の条件以外は一定の条件とするのが普通である。 実物による実験は、実験条件を十分正確に設定すれば、得られたデータはその条件下における、実際の現象の応答と考えることが出来る。その意味で一番信頼できる実験である。 しかし、何らかの事情によっては実物による実験が出来ない場合がある。そのような場合の便法として実際の対象物の模型を用いた実験が行われる。実際には模型実験が最も一般的な実験方法であろう。模型実験では、実物実験の場合の条件設定に加えて、物理量の各種スケールの変更による影響が発生するため、より注意が必要になることは言うまでもないが、十分管理された条件下で実験を行えば、比較的信頼できる結果が得られる。 実物にしろ、模型にしろ、自然科学における実験は、着目する現象を単純化して、出来るだけ不確定な要素による影響を排除して行うものである。 これに対して数値実験とは何であろうか?例えば鋼構造物の設計を考えてみる。構造物の設計において、模型実験を毎回行うことは、時間的、経費的に困難である。構造物の上部構造としての鋼構造物の固体力学・構造力学(特に静力学)的応答に関して、過去のデータの蓄積量が多いこと、あるいはそれに基づいて理論化された固体力学、構造力学は、実際の構造物の挙動を実用上十分に再現できることが確認されている。これを前提として、鋼構造物の基本的な設計は理論化された数式による設計計算によって行われる。 構造物の設計計算過程も一種の構造物の数値実験(=シミュレーション)と考えられる。数値実験が意味がある、あるいは許されるのは、あくまでも数値実験が現実の現象を実用レベルで十分再現可能であることが何らかの方法で確認できる場合に限られるのは、言うまでもない。 ここに、自然科学における通常の(模型)実験と数値実験には重大な質的な違いがあることを確認しておかなければならない。通常の実験の場合は、未知の現象に対して、ある物理量をパラメータとして変化させた場合の系統的なデータ収集によって、『未知の現象』の挙動を『帰納的に』把握する過程である。 これに対して、数値実験は『既知の物理的な理論・数式』を『演繹的に』利用して数値モデルを組み立て、計算を行う過程である。つまり、数値モデルを組み立てる段階で、着目している現象あるいは予測しようとする現象における、全ての物理現象を支配している法則なり理論は全て既知であることが前提となる。また、得られる結果は、既に数値モデルを組み立てた段階で規定されているのであって、計算結果から現象についての自然科学的な意義のある新たな知見が得られることはありえないのである。この意味で、数値実験(=シミュレーション)は、呼名とは異なり、本質的には実験ではなく、設計手法としてのみ意義がある。 現実には数値実験は、特殊で大規模かつ複雑な現象に対して利用される場合が多い。これは、対象とする問題が大規模で複雑であっても、対象とする問題を支配する個々の物理現象が解明されていれば、その組み合わせで十分現象を再現できるという、『過信』に基づいている。しかし実際には、特殊で大規模な問題において、部分的な要素を機械的に組み合わせることによって、全体の実際の挙動を適切に反映しうる数値モデルを構成できることを『確認』する術はない。 例えば、関西空港という大規模な土構造物の場合はどうであったか?大規模な海上における埋立てによって建設されたこの空港の、土砂の圧密沈下による地盤沈下の経年変化についての数値実験による予測は、見事に『現実によって裏切られた』ことは記憶に新しいであろう。 また、諫早湾の埋立ての潮受け堤防の建設による有明海の影響に関する数値実験はどうだったであろうか?影響は軽微ということで着工した結果が、予想もしない漁業被害の原因になった。 この二つの例の場合、対象とする主要な問題は埋立地の圧密現象であり、閉鎖海域の非圧縮性流体の流体力学的な挙動であり、気象現象に比べると、その時空的なスケール、関連する物理現象の複雑さは圧倒的に小さい現象である。それにもかかわらず、数値実験による予測値は現実と大きく異なる結果を与えたのである。その原因は、数値モデルを構成する段階で、結果に大きな影響を及ぼす物理的要素の見落としがあったのか、あるいはそれ以外の原因があったのかは不明であるが、少なくとも数値実験で実際の現象を再現することが非常に困難なことであることだけは疑いようがない。 5‐2 数値実験による気候の長期予測の現状 現在の気候に関する数値実験モデルは、基本的に大気と海洋を流体として解析している(大気海洋結合大循環モデルの概要は東京大学気候システム研究センターのHP『地球温暖化』を参照。)。これを時間方向にステップを区切って、相互作用を考慮して繰り返し計算を行うことによって将来像の「見通し」を行っている。 東京大学気候システム研究センターのHP『地球温暖化』より抜粋 大気海洋結合大循環モデルとは 図4 「大気中二酸化炭素濃度が増加された場合に、気候システムはどう振る舞うか?」このような問題をはじめ、総合的な気候変動予測の研究に欠かせないのが大気海洋結合大循環モデル、超高速計算機上で計算する数値モデルです。何十年も先の気候を予測するためには、風や日射など大気の運動に関する計算だけでなく海洋の表面温度や海流に関しても同時に計算することが必要になります。気候センターではこれまで開発されてきた大気大循環モデル(AGCM)と海洋大循環モデル(OGCM)を基にし、さらに海氷モデルと河川流路網モデルも組み込んで、結合モデルを作成しました。 図4: 大気海洋結合大循環モデルの概念図。 国家プロジェクトとして進められている、数値実験による気候長期予測の現状について、江守正多氏(地球フロンティア研究システム モデル統合化領域)のレポートを公開討論②から再録しておく。 1.「気象予測(予報)」と「気候変化見通し」 - 「気象」は日々の大気現象のことであり、「気候」は大気・海洋・陸面などからなる地球表層物理システムの長期間(数10年程度以上)の平均的な振舞いのこと。 - 「気象数値予測(予報)」とは、ある日の大気の状態を初期条件として大気数値モデルを時間積分する(今の状態をもとに少し後の状態を計算する、ことを次々に繰り返す)ことにより、その後の気象を予測する(ある日のどの場所に低気圧があり、雨が降るかを当てる)こと。 - 大気運動の非線形性により、気象はカオス的(初期条件の小さな違いが時間が経つにつれどんどん増幅する)であり、1~2週間より先の予測は一般には不可能(2週間先にどこに低気圧があるかを計算するのは一般には不可能)と考えられている。 - 一方で、「気候数値シミュレーション」は、大気中CO2濃度などの外部条件を大気-海洋-陸面系の数値モデルに与えた場合に、気候がどのようになるかの再現を試みるものであり、日々の気象(ある日のどの場所に低気圧があるか)は問題としない。 - 従って、「気象はカオスなので長期予測は不可能」という問題は、気候についてはそのままは当てはまらない。日々の気象が予測できるかどうかは、気候シミュレーションではハナから気にしていない。 - では気候なら予測可能かというと、そうではない。気候数値シミュレーションは、モデルの不確実性もさることながら、前提とするシナリオの不確実性も大きいため、予測(prediction)ではなく、見通し(projection)との認識で行われている。ある前提のシナリオ、ある前提のモデルで将来を計算した場合の一例として、将来を考える上で参考にするものである。 2.気候モデルの不確実性 - 気候モデルは、気候システムを支配する物理の方程式を、コンピュータで解けるように離散化近似し、時間積分により解くものである。 - しかし、モデル中には物理法則で直接表現できる部分(大気・海洋の大規模な流体運動)と、表現できない部分(放射、雲などの現象、小規模な渦運動)があり、後者は半経験的な方法で取り扱われる。後者をパラメタ化という。 - 気候モデルの不確実性の大部分は、パラメタ化の不確実性によって生じている。例えば、どのように雲ができ、どのように雨になるか、それがどのような環境条件に左右されるか、という前提を変えると、モデルの計算結果がガラリと変わることもありえる。 - 気候モデルの中ではそのような不確実な要素が複雑に絡み合っており、不確実性の程度を言い当てることは難しいが、研究者は、複雑なモデル結果の理解、観測データとの比較、モデルの改良に取り組み続けている。 3.気候変化見通し研究の意義 - このような不確実性があるにもかかわらず、将来100年の温室効果気体増加などのシナリオを気候モデルに与えて気候変化見通し実験を行うことには、2つの意義があると私は考えている。 - 1つは、気候変化メカニズムの解明である。モデル中で気候が変化したときに、どこで温度が上がるか、雨が増えるか減るかだけでなく、なぜそうなるかを理解する。また、近年観測されている現象との比較などを通して、現実の気候に対する理解を深める。これにより、将来起こりうる気候の変化について、定性的には、少しずつ自信を持った情報が得られるようになると考える。 - 定量的にもできる限り確実であるに越したことは無いが、モデルとシナリオの不確実性を考えると、3℃上昇であるか5℃上昇であるかというモデル結果の具体的な数字に、さほど意味があるとは私は思わない。「±1℃の精度で予測」などとは、私は言ったことも無いし、誰かに言わせたことも無い。 - もう一つの意義は、温暖化影響・対策研究への情報提供である。気候モデルの結果を用いて、将来の水資源、農業生産性、健康被害などの算定が行われ、影響緩和の対策についての議論が行われる。 - ここでは特に、気候モデルの結果が定量的にもできる限り確実であることが求められるが、前述したようにモデルはそのようには確実であり得ない。むしろ、気候モデルの不確実性についての情報を影響・対策の研究者と積極的に共有し、誤解無く影響・対策の議論を進められるようにすべき、というのが私の立場である。 4.「HP管理者から」No.48 に対する個別のコメント - 「フラックス調節」は、イカサマとは言えども、全く訳の分からない項を付け加えているのではありません。モデルを改良してエラーを小さくするのは時間がかかるため、便法としてエラーを一箇所に押し付けているものです。また、世界中でどこでも同じことをしています(少なくとも、かつてはしていました)。現在我々のグループでは、フラックス調節を用いないモデルを開発中です。 - 気候モデルでは、非線形方程式を非線形のまま離散化して解いています。大気モデルでは、普通収束計算は行いません。海洋モデルでは収束計算を行うものもありますが、それほど数値的に難しいものではありません。全般的に言って、数値計算の技術的な問題が無いわけではないですが、モデルの難しさの源としては、パラメタ化の難しさの方がずっと大きな割合を占める、というのが私の認識です。 - 「温暖化予測」に用いるモデルは、全球の海洋を深層循環まで含めて、大気と同じように解いています。 5‐3 数値実験による気候長期予測は可能か? 前節の江守氏のレポートをもとに、気候長期予測の現状と可能性を検討する。 (1) 現状の長期気候『見通し』の解釈について 数値実験結果は、限られた条件下における、定性的な見通しを示すもので、現実の地球の気候変化を「予測」しているものではない。現状の数値実験結果の信頼性、たとえば気温の変化4℃±2℃という上昇は、到底1℃オーダーの定量的な評価に堪えられるようなレベルにないことを、研究に携わる研究者も認めている。 ただし、気候予測に対する認識には大きな違いがある。まず第一に、既に前セクションまでの検討で明らかになってきたように、二酸化炭素地球温暖化脅威説を構成する各理論・仮説について、現状では全く自然科学的な裏づけがない。現状のような粗雑な理論をベースにして構成された幼稚な数値モデルでは、どのような高速・大型の計算機を用いて、要素数の多い『精緻な』モデルを作っても、現象の再現はもとより、到底予測など望むべくもない。『気候モデルの不確実性』は致命的な問題である。 第二に、数週間(数日?)以上の気象予測は、現象の非線形性から、非常に困難であるが、気象現象の平均的な振舞いとして現れる気候現象ならば予測可能だというが、どうしてそのようなことが理論的に保証されるのか? 現状では、例えば日本周辺に限った週間予報でも、とても精度の良い気象予報が行われているとはいえない。気象現象にかかわる物理現象の実態そのものが、未だ適切に把握できていないことが問題の本質である。このような段階で、長期的な気候変動において、どの要素が重要であり、あるいはどの要素は無視できるなどと、判断を下すことが可能なのであろうか?短期予測が出来ない現象の長期予測は可能などというのは、非論理的である。将来予測のシナリオ(例えば産業活動の動向など)の不確実性以前の問題である。 (2) 定量的な評価に堪える気候予測数値モデルの構築は可能か? 気候予測の数値モデルを『駆動』する現象、影響を及ぼす現象は、生態系を含む地球というダイナミックなシステムの全てに関わる。現状では、気候変動に影響を及ぼすと考えられるシステムの機構はおろか、個別現象の自然科学的な解明さえ十分ではない。現象の相互作用は更に複雑なものになる。 例え、すべての個別現象が解明されたとしても、履歴に影響される非線形現象において、膨大な数に上るであろう初期値に適切な値を設定し、適切な相互作用を再現して全体像を構成することは不可能だと考える。個々の自然現象は履歴に依存する非線形現象であるばかりでなく、ある閾値を超えるとカタストロフィックに量的・質的な飛躍が起こる可能性も否定出来ない。このような、複雑な問題を一つの数値モデルの中に適切に反映することは将来にわたって不可能である。 しかし、現実の数値モデルは、それ以前の問題に直面している。現状の幼稚な数値モデルでさえ、既に電子計算機の能力の限界とのせめぎあいにある。気候現象を構成する地球システムの、時空的な階層性の異なる全ての現象を、一つの数値モデルの中に全て反映することは、理論的にも困難であるし、電子計算機の能力的限界からも無理である。その結果、パラメタ化という半経験的な、物理現象の実体を反映していないブラックボックス的な数値を導入することになる。このパラメタ化による現象の表現が、一体どのような条件下では信頼でき、あるいは信頼できないのか。また、パラメタ化によって見えなくなってしまった個別の物理現象の影響はどうなのか。果たして気候の長期予測においてパラメタ化は適切なものなのか? 一方、江守氏のレポートでは、『「フラックス調節」は、イカサマとは言えども、全く訳の分からない項を付け加えているのではありません。モデルを改良してエラーを小さくするのは時間がかかるため、便法としてエラーを一箇所に押し付けているものです。』と述べている。しかし、気候予測モデルでは、適切な誤差評価は困難である。どのような誤差を想定して、その誤差をどのように調整すればモデルの改良がなされたと判断するのか?フラックス調整とは「望ましい」解を得るための恣意的なデータの捏造である。 (3) 数値解析に伴う困難 解の履歴に影響される非線形・非定常問題の時間方向の追跡では、繰り返し計算による誤差の蓄積は思いもよらぬ結果を与える可能性が高い。この種の問題は、区分的に線形解を用いて、これに収束計算を組み合わせることによって解を求める。非線形解を求めるため、あるいは細かい時間ステップで現象を追跡するためには、膨大な繰り返し計算が必要になる。その繰り返しの過程で、係数行列が特異あるいはそれに近い性質の悪い係数行列になる可能性は、低くない。 巨大な数値モデルにおける繰り返し計算の過程は、自動化されているため、その中で係数行列が特異あるいは疑似特異になった場合には、非常に大きな誤差を生じることになり、その後の解の信頼性は全く保証されない。それどころか解の発散や振動などによって安定解が得られない可能性もある。 この種の数値的な解の安定性の問題は、気候予測の数値モデルが物理現象を良く表すか否かには関係のない問題である。むしろ、数値モデルが精緻になり、気候予測モデル全体のメッシュ分割が細かくなり、未知数が級数的に増大すればするほど、解の不安定性は大きくなると考えられる。 (4) 数値実験にどのような意義があるのか 江守氏はレポートにおいて、数値実験の意義として気候変化メカニズムの解明を上げている。この点は地球フロンティアの目的にも挙げられている。しかし、この点は 5-1で検討したとおり、数値実験は通常の実験と異なり、モデルを組み立てた段階でその応答は既に規定されている。数値実験の結果から新たな自然科学的に有意義な情報を得ることは、理論的にありえない。例えば、大気中に放出される二酸化炭素が増えて、大気中濃度が上がり、温室効果が強まるという定式化をしておけば、そのような結果が現れるだけである。 江守氏は、もう一つの意義として、温暖化影響・対策研究への情報提供を挙げている。例えば、産業動向などの変化のシナリオ、あるいは環境対策の効果を評価するなど、言うなれば気候システムの将来設計とも言えそうな意義である。これを実現するためには、気候予測モデルの信頼性が大前提である。今のような幼稚で信頼性の乏しい気候モデルでは有効な情報提供を行うことは無理である。 現状では、数値実験の基本になる二酸化炭素地球温暖化説を含む気象現象に対する理解が不十分で、理論の信頼性が非常に低いことが、致命的な欠陥である。更にこの問題をたとえクリアーしても、地球全体を対象とする巨大で複雑な気候予測の数値モデルは、モデル化における理論的困難さ、電子計算機の能力的限界、数値計算の安定性の問題と、数々の問題があり、とても将来的にも実用になるとは考えられない。 気候シミュレーションとは何か/沖縄高専中本正一朗New! 二酸化炭素地球温暖化脅威説批判 近 藤 邦 明氏 『環境問題』を考える より |
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更新履歴 新規作成:Mar.19,2008 最終更新日:Mar.13,2009 |
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