二酸化炭素地球温暖化脅威説
§9.結論

 第一部の二酸化炭素地球温暖化説の検討から、現在観測されている気温の上昇傾向が温室効果を主因とする可能性は小さく、たとえ二酸化炭素の増加による温 室効果の影響が顕在化したとしても、それが地球の生態系にとっての脅威に直結することはなく、むしろ生態系にとって好条件になる可能性があることを示し た。
 第二部において、温室効果による地球温暖化を『防止』することを目的に導入されようとしている、クリーンエネルギー供給技術について検討した結果、これ らの技術は石油とその他の資源の浪費を加速すること、つまり二酸化炭素排出量を増大させると同時に、産業規模を拡大し、産業廃棄物の増大につながることを 示した。
 現在主流となっている、環境問題=地球温暖化という図式は、産官学共同体とマスコミの世論操作による『空騒ぎ』に過ぎないのである。
 しかし、その一方で生態系の物質循環を破壊する、本質的な意味における環境問題は確実に進行している。我々は、もう一度『環境問題とは何か』という原点に立ち戻って、冷静で科学的な検討を行うことから対策を検討しなおさなければならない。
 我々の文明は、石油という優れたエネルギー資源の使用によって目覚しい発展を遂げた。これによって工業的な物質について豊かになった反面、人間という生 物種の根源的な生存の基盤である生態系の物質循環を傷つけてきた。こうして顕在化した環境問題を、これまでの工業技術の延長線上にある高度な工業技術によ る対症療法で解決しようとする目論見は、意に反して更なる工業生産システムの肥大による環境問題の悪化につながる。
 これまでの工業技術の発展の方向性は、自然を克服すべき対象として、自然環境に影響されない『人間社会』という閉鎖システムを構想してきたように思え る。しかし、我々は生物であることを超越できないように、豊かな生態系の中にあってこそ生かされているのである。環境問題を克服するためには、我々は生態 系を構成する一員であることを自覚し、生態系を豊かにすることに主眼を置いた新たな工業技術の方向性を模索すべき時期にあると考える。槌田の言う『後期石油文明』を実現することがその一つのあり方ではないだろうか。
(2003/02/13)

二酸化炭素地球温暖化脅威説批判 近 藤 邦 明氏 『環境問題』を考える より
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更新履歴
新規作成:Mar.19,2008
最終更新日:Mar.13,2009