第二節 眞瀧村沿革
一、岩手縣沿革
明治元年一二月、一関藩二属シ、同四年七月一四日、一関縣トナリ、同四年一二月一三日水沢縣トナリ、治所ヲ登米ニ置キ、増田繁幸ヲ以テ県令ニアテタリ。同八年十一月二十二日、縣庁一関ニ移シ、磐井縣ト改称シ、同九年四月十八日、陸前国ハ宮城縣ヘ、同五月二十五日、陸中国ハ岩手縣ヘ合併セラレタリ。
備考 ・・ 岩手縣ハ明治五年一月八日元八戸藩、盛岡藩ノ合併セル盛岡縣ノ改称セラレタルモノナリ。
〈文書写〉
廃藩御沙汰
明治亡巳年十二月
爲政堂
藩中一統江
今般
朝命ヲ奉ジ藩政改革致従来君臣ノ分ヲ廃ス。
新ニ藩士ヲ士族軽卒ヲ庶族ト称シ自分儀ハ収納現石十分ノ一ヲ以テ家禄ト定メ士庶族ノ称ヲ平等ス。藩治ニ職員ヲ一堂三寮ニ区分ス。諸事簡易公平職裁相立候条、藩中一統自分旧習降キ、各其分ニ応ジ奮発盡忠皇道ヲ扶値シ可奉、大言路洞開之為メ新ニ議事所ヲ設ケ、目安箱ヲ置候間、存慮次第各忌憚ナク可申出事。
明治二亡巳年十二月
知事
右ト同時ニ左ノ藩中礼節ナルモノヲ発布セラレタリ。
一、従来被定置候年中ノ儀式ヲ始メ一切ノ礼節今度総而廃止ノ事
一、殿様ヲ知事殿ト可称事
一、大殿様ヲ磐井殿ト可称事
一、大前様ヲ大奥方ト可称事
一、知事殿ノ御家族ハ総テ御名殿ヲ以可称事
一、知事殿御親族両敬片敬ノ呼称止ラレ候事
一、知事殿磐井殿ヘ途中行逢ハレ候節、総而平伏可改事但二等以上ヘ行逢ハレ候節、下乗下馬被致事
一、五等以上ヨリ二等以上ヘハ殿称 六等以上ヨリ四等以上ヘ殿称 五等之僚属ハ四等以上之長官ヘ殿称可致事
一、但、庶族ハ、四等以上并各寮所長官ヘ平伏可致、四等以上通行ノ節諸衛所番卒下座ノコト
一、五等以上各上下之分ヲ守礼節不可失事
一、飲食衣服ノ旧制ヲ廃止候雖、然各其節通奢奓ニ渉不可事
一、年始、五節句、士卒一統於爲政堂天機ヲ窺ヒ、知事殿ヲ可賀事、但所属所長各其寮属部下引マトメ等級ノ順席ヲ以テ礼ヲ可行事
一、寺院是マデノ座順礼節総而廃止之事
右之通被完事
明治亡巳二年十二月
爲政堂
太政官御沙汰
水沢縣
其縣庁登米郡之登米縣庁江可移事
明治五年十一月二十二日
水澤縣
其縣本庁ヲ陸中國磐井郡一関ニ移シ、磐井縣ト改称候条、此旨相達候事
明治八年十一月二十二日
右當庁官員ヘ達
大属 三雲辰次
大属兼一等警部 本間季明
以下大属一同建署
太政官御達
磐井縣
其縣ヲ廃シ陸前国ハ宮城県ヘ、陸中国ハ岩手縣ヘ合併候條、此旨相違事
明治九年四月一八日
二、眞瀧村沿革
本村ハ、明治二十二年町村制実施ノ際、真柴、狐禅寺、滝沢、一関内三関ノ四ヶ村ヲ合併シテ眞瀧村ト称シ一村ヲ成セルモノナリ。サレバ、各旧村ノ沿革ヲ記述スベシ。
真柴
往古、吾勝郷ト称シ（桜場庄）鬼死骸邑ナリ。明治維新ノ際ヨリ鬼死骸ト称シ、肝入又ハ村長ノ支配ヲ受ク。明治六，七年ノ頃ハ、隣村牧沢ト共ニ、一関外二ヶ村戸長役場ノ支配ヲ受ケタリ。
明治八年十一月、牧沢合併第十四大区第五小区真柴村ト称シ、一関真柴戸長役場ノ支配スル所トナレリ。明治十七年九月ヨリ、一関外五ヶ村戸長役場ノ管轄スル所トナレリ。
〈備考〉一関外五ヶ村トハ、一関・真柴村、上黒沢村、狐禅寺村、滝沢村ヲ云フ。
牧沢
明治維新ノ際、牧沢村ナル一村ナリシガ、明治八年十一月、鬼死骸村ト合併、真柴村ト称セリ。
滝沢
往古、吾勝郷荒滝ノ荘ト称セリ。明治維新ノ際、滝沢村ナル一村ヲ成シ、第十四大区第四小区ニ属セリ。明治十一年、狐禅寺村ト連合役場ヲ設ケ居リシガ、十七年九月ヨリ一関外五ヶ村戸長役場ノ支配ヲ受ケタリ。
狐禅寺
往古、真柴ト共ニ吾勝郡吾妻ノ荘ト称セリ。（一説二山田部落ハ山田郷ノ内ナリトモ云フ）。維新ノ際、狐禅寺村ト称シ、十一年ヨリ十七年九月迄、滝沢狐禅寺連合役場ノ支配ヲ受ケ、明治十七年九月ヨリ、一関外五ヶ村戸長役場ノ支配ヲ受ク。
三関
往古、鬼死骸邑内三関ナリ（一関、二関ト共ニ）。維新ノ際、三関村ト称シ一村ヲ成シタリシモ、十一年郡区町村編制法ニヨリ一関村江併合セラレ居リシガ、明治二十二年、町村制実施以来、眞瀧村ニ合併、大字一関ト称シタリ。以上、真柴、牧沢、滝沢、狐禅寺、三関各村、明治二十二年、町村制施行ニ当リ、併合シテ一村トナシ、眞瀧村ト称セリ。
〈参照〉
大字一関ヲ三関ト改称ノ儀申立
明治二十六年七月七日 一関人民一同
理由
大字一関ハ、往古、三関村ト称シ独立一村ヲ組織シタルモ、明治十一年、郡区町村編制法実施ニヨリ一関村ニ併合セラル。明治二十二年、町村制実施ノ際、村落ニシテ人情風俗ノ異ナルアルヲ以テ、一関村ヲ分割、眞瀧村ニ合シ、爾来、大字一関ト呼称スルモ、其実古来ノ名称（三関）ヲ襲用シ、一関ト呼称スルモノナシ。然而巳ナラズ。
一関町ト當部落ハ距離僅カニ十八町余。斯ク接近ノ地ニ同一ノ名称有。故ニ往々差支生ス。此際旧名（三関）ニ改復セザレバ、将来益々差支ヲ醸スノ恐レアリ。依リテ改称ヲ要スル所以ナリ。
指令甲第二四五四号
西磐井郡真滝村長
本年七月二十四日請第一八二二号申請文字改称ニ関之件之ヲ許可ス
明治二十六年八月五日
岩手縣知事 服部一三
〈参考〉
大区、小区ニ分チタルハ、明治九年ニシテ、磐井郡ハ十四、十五ノ二大区トシ、今ノ西磐井郡ハ第十四大区ナリキ、而シテ之レヲ八小区ニ分チ五ヶ所ニ扱所ヲ置キタリシ。涌津扱所ハ（永井、涌津、蝦島、油田）第一小区四ヶ村ヲ扱ヒ、金沢ハ第二小区（奈良坂、花泉、金沢）三ヶ村第三小区（老松、日形、弥栄）三ヶ村二小区ヲ扱ヒ、一関ハ第四小区（滝沢、狐禅寺）第五小区（真柴、下黒沢、上黒沢）第六小区（赤荻、山目、中里、川辺）ノ三小区十ヶ村ヲ扱ヒ、衣関ハ第七小区（平泉、衣関）ノ二ヶ村ヲ扱ヒ、五串ハ第八小区（五串、猪岡、達古袋、市野々）四ヶ村ヲ取扱ヒタリ。
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底本：「復刻 眞瀧村誌」
2003（平成15）年6月10日発行
発行者 眞瀧村誌復刻刊行委員会
代表 蜂谷艸平
2004年3月10日作成